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映画や動画を見た感想を書いていきます。たまに小説、随筆の感想も。80年代の8mm映画の断片を頭の隅に置いて、今の映像作品を見つめます。

【邦画 80年代】「ツィゴイネルワイゼン」感想 [ 鈴木清順の幻夢譚 ]

ツィゴイネルワイゼン」は、内田百閒の幾つかの短編小説を原作として、脚本が書かれた、鈴木清順監督による作品です。

独特なカット割りで、流れる場面や、原作の幻想的な描写を物語に取り入れ、登場人物の魅力を存分に引き出した映像は、この映画の見所の一つです。

 

【目次】

作品情報

あらすじ

昭和初期、陸軍士官学校の独逸語教授、青地豊二郎は、友人の元独逸語教授、中砂糺と旅に出ていた。旅路の途中、旅館で座敷に呼んだ、弟の弔い帰りの芸者の小稲と出会う。座中、小稲の踊りに合わせ、中砂はそれとなく三味線を弾き、青地は、酒を飲みながら時を過ごす。小稲の弟の死因や、中砂の心中騒ぎの話題など、深刻な問題に触れながらも、3人の思い出となる余韻を残した。

翌年、中砂は、園という細君を迎える。中砂邸の玄関で園が青地に、初めて挨拶をした時、その顔に驚きを隠すことは出来なかった。中砂との去年の旅行で出会った芸者、小稲と顔がそっくりだったのだ。

感想

中学生の時、松田優作主演の「陽炎座」が見たくて、渋谷のシネマ・プラセットの移動式ドーム型のテント小屋でを見に行きました。

自分にとって、テレビドラマの探偵物語のイメージが強い「U作」は、映画の中で劇作家を演じていました。映画で描かれている不思議さに面食らい、映画そのものの輪郭を掴めずにいました。

その後、高校時代に、エンタメ情報誌「ぴあ」で、鈴木清順監督の代表作である「ツィゴイネルワイゼン」の上映会があるということを知りました。当時、映画研究部に入り、8mmカメラで映画作製に夢中だった頃です。

映画のパンフレットには、(もう処分してしまいましたが)監督のメッセージに、自分の映画は、月見草。映画はシナリオくずしから始まる。と、うろ覚えかもしれませんが、そう書かれていたと思います。

映画雑誌に「ツィゴイネルワイゼン」は、内田百閒の小説を元に脚本が書かれたと、解説がありました。当時、高校の図書館で、内田百閒の短編集を借り、「山高帽子」や、他の短編小説を読みました。神経衰弱からくる不可思議な描写や、なんともなしに恐怖を感じる境地を垣間みて、幻想の世界を覗くことができる小説もあるのだなと感じました。

ツィゴイネルワイゼン」は、鈴木清順の洗練された美学と異彩さを堪能することができる映画だと思います。

映画ファンなら、時が経てば、また見たくなる映画のリストがあると思いますが、筆者にとっては「ツィゴイネルワイゼン」はその一つです。

 

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